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2003年5月の研究会報告
平成15年5月10日午後2時からJCII会議室にて開かれた。今回のテーマは「ボディーが木製のカメラ」であったため、古い珍しいカメラが多く、中でもイギリス製のカメラが目立ちました。参加者は前回より少なく、約50名でした。研究会の後、自由参加の懇親会が、近くの食彩亭で行われました。久しぶりに元気な姿を見せられた世話人の横川さんを始め、約25名の参加者がありました
当日参カメラ一覧を下に掲げます。なお一覧表は基本的には持参者の記入通りとし明らかに誤記と思われるものは(編)で修正しました。 (敬称略、50音順)

持 参 者 カ メ ラ  名 製造会社 フィルム 国名 発売年
浅沼 宣夫 No.2フォールディングブローニーカメラ コダック 120(6×9) 1904
フォトホール フォトホール 手札 1900
無銘 不明 手札 c1900
石橋 直幸 無銘 手札 仏? 1900
不明 手札 仏?
伊東 祐弘 ミニチュア・スピードグラフィック グラフレックス 21/4×31/4 1938
井野 了慧 セネカ・フォールディングカメラ セネカカメラ -
ライト I.Sカメラワークス 暗室不要フィルム 1930s
内田 五三郎 ヘーグV エルネマン 120に改造〔6×7〕 1926
No.1オートグラフィック・コダックジュニア コダック 120(6×9) 1914
No.2フォールディングポケット・ブローニーモデルB コダック 120(6×9) 1907
小島 千秋 ソホ マリオン・ソホ 手札
小林 泰人 ステレオスコピック・シビル ニューマン&ガーディア プレート(31/4×41/4in×2) c1912
アルファ・ハンドカメラ ワトソン&サンズ プレート(31/4×41/4in) c1890
アンソニー4×5チャンピオン E&HT アンソニー プレート(4×5in) c1888
城 靖治 イカ・ファボリット〔トロピカル〕 イカ 大陸手札(9×12) 1925
高島鎮雄
***
1/4プレート、シンクレア・ウナ・トロピカル ジェイムス・シンクレア 1/4プレート〔手札8×10.5) 1925
1/2プレート、サンダーソン・フィールド ホートン 1/2プレート 1905
田村 彰啓 ポケット ポコ ロチェスターカメラ プレート(31/4×41/4in) 1898
ヘーグ0TypeA エルネマン プレート(6.5×9) c1913
ヴェロ ? プレート(9×11.5) 独?
七井 貞明 アイデアル アダムス プレート(31/4×41/4in) c1892
西野 欣哉 アンスコ・メモ アンスコ 35mm(18×24) 1927
ゾナー コンテッサ・ネッテル プレート〔9×12〕 1920s
ペースメーカー・スピードグラフィック グラフレックス プレート(31/4×41/4in) 1947
ベビーシビル ニューマン&ガーディア 127(4.5×6) 1912
No.2フォールディングポケットブローニー コダック 120(6×9) 1907
林 輝昭 1/4プレート、シンクレア・ウナ ジェイムス・シンクレア 1/4プレート〔手札8×10.5) 1920s
1/2プレート、シンクレア・ウナ ジェイムス・シンクレア 1/2プレート 1910s
1/2プレート、サンダーソン ホートン 1/2プレート c1920
馬淵 勇 アンスコ・メモ アンスコ 35mm(18×24) 1927
山前 邦臣 テールボードカメラ ネグレッティ&ザングラ プレート(9×12) 1890
トロピカル・アドロ ツアイス・イコン プレート、A120(6×9) 1920s
山本 重治 ソルントン組立暗箱 ソルントン・ピッカード プレート(キャビネット)
乾板カメラ エルネマン プレート(大陸手札)

 今回の「ボディーが木製のカメラ」は少し難しい課題であったのか、カメラを持参されたかたがいつもより少なかったこともありますが、リストのご提出が少なかったように思います。昨年の11月の研究会分からこのリストを会報に掲載するようにいたしましたが、少しずつ少なくなってきました。このリストはいずれまとまれば貴重な資料となるものです。大変ご面倒であるとは思いますが、ぜひ皆様の協力をお願い致します。



03年5月の研究会の様子
ボディーが木製のカメラ
    
左からホートン社から1920年ごろに発売されたサンダーソンF6.3のテッサーとコイロスのシャッターが付いている
ジェイムス・シンクレア社(イギリス)から
1910年代に発売された1/2プレート・ウナ・カメラと1920年代に発売された1/4プレート・ウナ・カメラ。           (林輝昭さん所有)
       
アダムス社(イギリス)で1892ごろ作られた手札判乾板カメラのアイデアル。12枚の乾板を内蔵し撮影が終わったら写真に見られるつまみの付いた棒を引っ張り、続いて元に戻すと撮影された乾板が移動して所定の場所に収納されるという構造。レンズはF8のラピッドレクチリニア、シャッターは空気ポンプ式。(七井貞明さん所有)
     

左からE&HT アンソニー社(アメリカ)のフィールドカメラ、4×5チャンピオン。最初1881年に作られたが写真のものは1886年のモデル。ワトソン&サンズ社製(イギリス)の1/4プレート・アルファ・ハンドカメラ、ワトソン&サンズ社は多くのダゲレオ型カメラを作った歴史のある会社だが1900年代初めには消滅。ニューマン&ガーディア社製(イギリス)のステレオスコピック・シビル、ステレオ用の特殊なサイズの乾板フィルムに手札サイズの画面を撮る。 (小林泰人さん所有)




ソルントン・ピッカード社製のキャビネ判ソルントン組立暗箱。これはアメリカ、ウォーレンサック社のベリート
F4いう明るいソフトフォーカスレンズを付き
全体
的に大変奇麗なカメラで、シャッターはいわゆるレンズの前に付けるソルントンタイプとよばれるようになったシャッターの元祖。 (山本重治さん所有)






イギリス、ネグレッティ&ザングラ社から
1890年に発売された手札判乾板使用のテールボードカメラ
 (山前邦臣さん所有)





ツァイス・イコン社から1930
ごろ製造された大名刺判乾板カメラのトロピカル・アドロ。トロピカル・アドロ(ドイツ名トロッペン・アドロ)はツァイス・イコン社が発足する前のコンテッサ・ネッテル社が1920年代に発売したカメラで、ツァイス・イコンになっても作り続けられた。

(山前邦臣さん所有)




無銘
バックフォーカスの蛇腹とソルントンタイプのローラーブラインドシャッターが付いたテールボードカメラで大変立派なカメラ。

浅沼宣夫さん所有)
      
イーストマン・コダック社(アメリカ)No.2フォールディング・ブローニーカメラ2。左が1904年に発売のモデルA(浅沼さん所有)
右がNo.2フォールディング・ブローニーカメラ1907年に発売のモデルBです(
西野欣哉さん所有)。
           
左にものとほぼ同じ構造で後年に発売されたイーストマン・コダック社(アメリカ)No.2フォールディング・ポケット・ブローニーカメラ
                      (
内田五三郎さん所有)
          
 アンスコ社(アメリカ)から
1927年に発売され、35mmフィルムをハーフサイズ(18×24mm)の画面で使うアンスコ・メモ。左に一部見えているのは作例です。オリジナルは1927年だが、馬淵さんのカメラには1929年のパテント番号の刻印がある。(馬淵勇さん所有)
       
アメリカ、グラフレックス社から1938年に発売されたミニチュア・スピードグラフィック。画面サイズは21/4×31/4inch57.2×82.6mm)で、乾板フィルム用と120ロールフィルム用のホルダー、それに取扱説明書も揃った大変奇麗なセット。
                                  (伊東祐弘さん所有)
              
イカ社から1925年に発売された大陸手札判(9×12cm)乾板カメラのイカ・ファボリット・トロピカル。レンズはイカ・マキシマ・ドラベル・アナスグマートF6.8付き、シャッターは旧コンパー付き。このカメラは撮影状態にセットしたまま乾板側を90度回すことができるため、カメラを回さないで縦横の構図を自由に選べるという特徴をもつ。今日いうところのレボルビングバック(RB)。(城靖治さん所有)

      
左からホートン社(イギリス)、1/2プレート・サンダーソン・フィールドとジェイムス・シンクレア社1/4プレート・シンクレア・ウナ・トロピカル。サンダーソンはレンズがボードごと回転できる機構をもっており、左右のあおり撮影をするときは、最初レンズを上ないし下に移動させ中心位置からずらした状態にしてから、レンズを回転させて必要な位置にセットする、という珍しい構造。右はランカスター社製1/2プレートカメラ、インスタントグラフのレンズ付きシャッター部分(高島会長所有)
           
1892
年に発売されたランカスター社製1/2プレートカメラ、インスタントグラフのレンズ付きシャッター部分の詳細。表面に輪にしたゴムひもを取り付けて、それを動力にするという珍しい構造 (高島会長所有)

食彩亭での懇親会の模様。横川さんが久しぶりに出席されました