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研究会報告(2006年3月11日(土曜日)14時10分から16時過ぎまでJCII 6階会議室にて開催されました。

今回のテーマは、「ノンセクション」、サブテーマとして「木製又は紙製のカメラ」でした。木製や紙製ののカメラの多くはカメラ黎明期から20世紀初頭のもので、多くの珍しいカメラが集まりました。イギリスの木製カメラはその仕上がりは正に芸術品で、写真を撮るのがもったいないほどで床の間にでも飾っておきたい様な気さえ起こってきます。


2006年3月研究会持参カメラ一覧・・基本的には持参者の記入通りとし明らかに誤記と思われるものは(編)で修正しました(敬称略、50音順)
持 参 者 カ メ ラ  名 製 造 会 社 フィ ル ム 国 名 発売年
浅沼 宣夫 無銘カメラ 進々堂 プレート(6×9cm) 日本 不明
井野 了慧 マミヤフレックスオートマットA マミヤ光機 120(6×6cm) 1949
岩崎 敏彦 ペースメーカースピードグラフィック グラフレックス 120(6×9cm) アメリカ 1947
鵜殿 龍太郎 スーパーフジカシックス 富士写真フイルム 120(6×6cm) 日本 1956
エルモフレックス(型番無記入) エルモ
岡田 万寿男 アルペンフレックス(T又はTS) 八陽光学工業 1953
倉石 馥 シャトークア(Chatauqua4×5) セネカ カメラ Mfg. シート又は乾板(4×5吋) アメリカ 1907
小林 泰人 バイド(VAIDO) モデル デラックスA アダムス 乾板(4×5吋) イギリス 1909
ツインレンズ チャレンジ デラックス J. リザース(Lizars) 乾板 1/4プレート c1897
ウナ トロピカルモデル ジェイムス A. シンクレア c1904
ロス湿板カメラ(テイルボードスタイル) ロス 湿板(16×11.5cm) c1865
クライヅデール セット J.ロビンソン 乾板 1/4プレート アイルランド c1889
テイルボード ハンド&フィールド カメラ H. マッケンシュタイン(Mackenstein) 乾板(18×13cm) フランス c1888
ヨーヒム(Jochim) スペシャルコンパクト ヨーヒム(Jochim) 乾板 1/2プレート ロシア c1915
テイルボード フィールド カメラ A. シュテゲマン(Stegemann, Seller) 乾板 (17×11.5cm) ドイツ c1890
ホークアイ ディテクティブ カメラ ブレア(Blair)カメラ 乾板(13×10.9cm) アメリカ c1890
スコービルウォータバリー ビューカメラ スコービル マニュファチュアリング 乾板(5×8吋) c1886
マーベル(Marvel)カメラ F.プットナム(Putnum) c1888
佐藤 経明 ツェルト シックス ツェルト カメラ ヴェルク 120(6×6cm) ドイツ 1953
城 靖治 ルビー ソルントン ピッカード 乾板(3×4吋) イギリス c1905
鈴木 恭一 ポケット アイデア 六桜社 乾板(9×12cm) 日本 1909
ボックス カーバイン No.2 ホートン 120(6×9cm) イギリス 1923
アンスコメモ アンスコ 特製カセット35mm入(18×24mm) アメリカ 1927
高島 鎮雄 ザ ブローニー カメラ イーストマン コダック 117(6×6cm) 1900
No.2 ビュー ブローニー 120(6×9cm) 1930
フィルム K 6×6cm(初期型) ハインリッヒ エルネマン 120(6×6cm) ドイツ 1916
    〃      (後期型) 1920
フィルムK6×9cm 120(6×9cm) 1920
フィルムU 1923
ブラウン インペリアル カール ブラウン 120(6×6cm) 西ドイツ 1953
竹内 久彌 ル セルティック OPTIS 乾板(6.5×9cm) フランス 1902
オカム(ブロニカフィルムバック装着用に改造) OKAM 乾板(4.5×6cm) チェコスロバキア 1926
鍋田 道雄 バルダマティックT バルダ カメラ ヴェルク 135(24×36mm) 西ドイツ 1958
〃 U 1960
〃 V
西原 和彦 ビーコンU ホワイトハウス プロダクツ 127(3×4cm) アメリカ c1947
長谷川 幸也 ヘアク(Heag)U Ser.U エルネマン 乾板(6.5×9cm) ドイツ 1913
林 輝昭 Albert Brichaut 不明 乾板(77×111mm) フランス c1890
平形 信 立原木製暗箱 立原カメラ 乾板(4×5吋) 日本 1955
藤田 耕一 ミニチュアスピードグラフィック グラフレックス 120(6×9cm) アメリカ 1938
藤森 惇 レンブラント ポートレートカメラU バーク アンド ジェームス 乾板(5×7吋) c1956
松尾 良彦 No.2 ブローニー カメラ イーストマン コダック 120(6×9cm) 1901
ブローニー ターゲット Six-20 620(6×9cm) 1946
タワー ボックス シアーズ ローバック 120(6×9cm) 1938
水川 繁雄 フィメラ(「 写ルンです」の先祖、試作カメラ) 試作:甲南カメラ研究所 20mm巾フィルム(15×24mm) 日本 (1950s)
エコー(同上 第2世代試作カメラ) (1960s)
ナイスショット(同上 第3世代試作カメラ) 富士フイルム (1970s)
コダック ミニ((110カメラ、旺文社) コダック 110(13×18mm) アメリカ 1980s
山口 満 メントール スタジオ レフレックス 1950 メントール 乾板(9×12cm) 東ドイツ 1950
山前 邦臣 エルマノックス レフレックス エルネマン アトム判プレート、127(4.5×6cm) ドイツ 1926
ライカ T エルンスト ライツ 135(24×36mm) 1925
山本 重治 ミニマム アイデア 小西本店 乾板(5×8cm) 日本 1911
アイデアスナップ 1915
さくらカメラボックス 小西六 120(6×9cm) 1931
ヒット号 東郷堂 シートフィルム (3.5×5.5cm) 1931
ライト号 1931
ナイス 1934
湯浅 謙 コンタックス D VEB ツァイス イコン 135(24×36mm) 東ドイツ 1952
ペンタコン 1953
ヘキサコン c1955
ベリコン
スーパー-D
コンソル 1956
無銘 コンタックス c1956


  
 イギリスのロス(ROSS)社が1865年に発売した湿板カメラ。湿板の取り扱いは大変手間の掛かるものだったため、手間の掛からない乾板ができると、大半の湿板カメラは乾板型に改造されたと言う。
 本機はよく原形をとどめている貴重なもの(小林泰人さんのコレクション)
     
 アダムス(Adams & Co.)社が1909年に発売したフォールディングカメラのトロピカル バイド(Vaido)。英国屈指の老舗メーカーが丹精を込めて作り上げた工芸品である(小林泰人さんのコレクション)。
   
 スコットランドのリザース(Lizars)社が1897年頃に発売した二眼レフのツインレンズ チャレンジャー(Challenger)。
 チーク材を用いた珍しいものである(小林泰人さんのコレクション)。
   
 フランスのマッケンシュタイン(Mackenstein)社のフォールディングカメラ。写真で分かるように引きだした時にレンズボードを支えるタスキ部分はきれいな波形をしたいたになっている。広角レンズ付きで1888年頃発売(小林泰人さんのコレクション)

 ドイツのシュテゲマン(Stegemann)社から1890年頃発売されたフィールドカメラで一つのレンズでステレオ写真が撮れるように作られたステレオカメラ。写真はレンズは向かって左側に寄せた状態になっている(小林泰人さんのコレクション)。
     
 ロシア製のヨーヒム(Jochim)スペシャルコンパクトというフォールディングカメラ(会社名もキリル文字でJochimとある)。ロシア革命前後に作られたものだがよく残っていたものと思われる貴重なものである。カメラ名および製造会社から見るとドイツ系の会社が作ったものか、ドイツから輸入されたものかも知れない(小林泰人さんのコレクション)。
  
 アメリカのプットナム(Putnam)社が1880年頃製作したマーベル(Marvel)。
 空気ポンプ式シャッターが付いているバックフォーカスタイプのビューカメラ(小林泰人さんのコレクション)。
   
 フランスのアルベール・ブリシャウ(Albert Brichaut)社の木製乾板カメラで1890年頃の製品。レンズボードを2枚の折りたたみ式側板で支える構造が特徴(林輝昭さんのコレクション)。
 
 日本の進々堂が1900年頃製作した木製乾板カメラ。この会社の詳細は不明だが、営業写真館向けに暗箱を作っていた東京のメーカーで、注文に応じて写真器店にも納入していた町工場と言ったところ(浅沼宣夫さんのコレクション)。

 セネカのシャトークア4×5(Chautauqua 4×5)、メーカーのセネカ社(Seneca Camera Mfg. Co.)は左の箱側面に見えるインディアンマークで有名な会社。これと言った特徴のない廉価版木製カメラ。木製ボディーは黒で塗装されている(倉石馥副会長所蔵)。





 117フィルムを使う6×6cm判のザ・ブローニー (The Brownie)。
 コダックがフィルムの拡販を図るために作った史上初の紙製市販カメラで、価格は1ドルだった(高島会長のコレクション)。





 イギリス、ホートン社のNo. 2ボックスカーバイン。ボディーが紙製の廉価版で、120フィルムを使う6×9cm判。
 このカメラは後にボックスエンサインという呼び方もされたようである。
(鈴木恭一さんのコレクション)
 
 エルネマン(Ernemann)のアトム判一眼レフ、エルマノックス レフレックス。ドイツの写真家エーリッヒ・ザロモンで有名なオプティカルファインダー付のエルマノックスの後継機で巨大なF1.8のエルノスター付き(山前邦臣さん所有)。



 ブラウン インペリアルという6×6cm判スプリングカメラ。西ドイツのヘルマン・ヴォルフ社が1950年にルクサシックスという名前で発売したが、販売力がないため1953年にパクセッテなどで知られるカール・ブラウン社から発売されるようになった。
 このカメラは、外観からは、レンズボードを支えるタスキ部がないように見えますが右上の内部写真で分かるように蛇腹の内側にタスキを設けると言う極めて珍しい構造を撮っている(高島会長のコレクション)。
     
フランスのオプティス(OPTIS)社が1902年頃発売した ル セルティックと言う
6.5×9cm判の乾板カメラ。当時のフランスでは、この種のカメラボディーが早くも金属製となっていたものが多い中で本機は木製革張りである(竹内久彌さん所蔵)







チェコスロバキアのオカム(OKAM)社のボックスカメラ オカム。
 所有者の竹内久彌さんは写真で分かるようにブロニカのフィルムバックを取り付けて撮影できるようにし、撮影を試みたとのこと。
   
一眼レフのコンタックスDとその別名カメラ5台(左の写真)。およびノーネームコンタックス(右)。コンタックスDは1952年のライプチッヒ春の見本市で発表されたが、当時ツァイスイコンの本社はすでに西ドイツのシュトゥッツガルトに移っており、東独側はコンタックスやツァイス イコンと言う名称が使えなくなったので色々な別名カメラが生まれた。 左の写真の上段左から時計回りにコンタックスD、ペンタコン、コンソル、ベリコン、スーパーD、ヘキサコンですべて湯浅謙さんのコレクション。

富士フイルムの「写るんです」などのフィルムカメラの元祖とも呼ぶべき試作カメラとコダックの110サイズのレンズ付きフィルムコダックミニ(右端)。1番左はフィメラ(fimera)で1950年代に甲南カメラ研究所が富士フイルムに売り込んできたもの。次ぎも同じく甲南カメラ研究所が1960年代に持ち込んだ第2世代試作カメラ。3番目は富士フイルムが1980年代に試作した「写るんです」試作品ナイスショット。何れも水川繁雄さんのコレクション。


 キング露出計。1930年代のもので計算尺のような形をしている。森式とある。
 時代を反映して北海道だけでなく、樺太や満州での露出補正表が添付されている。
(内田五三郎さんのコレクション)